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木工品

結桶

炊きたてのご飯をお櫃に移す。寿し飯を飯台に入れて、すし酢をきり混ぜる。ご飯の湯気をさわらの木がほどよく吸ってくれて、とびきりおいしい味になる。江戸の頃から変わらないそのごちそうを支えている結桶は、原木から桶に仕上げるまでに実に70以上の工程を要する、根気と熟練の技がいる手作業で作られる。結桶は、木と木をぴたりと合わせて、水を寸分も漏らさない桶を“結う”、熟練の技がなければかなわない伝統工芸の粋である。仕上げに磨かれて木目の美しい、すべすべとした木肌を触わると、合わせ目など最初からなかったかのような丹精な姿にしばし魅せられる。結桶は江戸に限った技ではない。全国津々浦々にある。用途や文化によって桶の大きさや厚さ、タガの素材や太さや位置が異なる。たとえば京都は雅に、江戸はほどよい厚みで使いやすく。生活道具だからその地方の慣習や暮らしぶりが投影される。